最初から読む
あたしが目を丸くすると、東堂は照れ笑いしながら言い訳する。 「腹減ってる時って、何でもうまそうに見えねえ?」 あ~・・・それ、わかるかも知れない。あたしはうなずきながらピザまんをかじった。 「カッシーは牛乳な」 東堂は横にパックとストローを置いて、自分はオレンジジュースのパックを開け始めた。 「なんで?」 空いてる手で500mlのパックを持ち、あたしは首を傾げる。 「カッシー、牛乳好きそうだから」 東堂は海鮮まんの残りを口に押し込んでジュースで流し込む。 「給食ん時も、たまにコダマからもらって飲んでんだろ?」 そうだけど・・・よく見てんなぁ。 あたしは苦笑しながらパックを開けた。 借り作っちゃった。今度おごんなきゃいけないなぁ。 牛乳の冷たい喉越しを感じて東堂の横顔を見ながら考えた。 東堂はみんなより少し日に焼けてて、今日はちょっと泥かなんかもほっぺたについてる。 「・・・なんだよ?」 東堂があたしの視線に気付いて食べる手を止めた。 「今度、おごるね。今日のお返し」 「あぁ、いいよ別にさ」 少し照れたように、東堂は顔を背ける。 そういや、小学校からずっと一緒だったけど、ちゃんと喋ったことってそんなになかったなぁ。 小学校の頃は、男女とも仲が良くて、みんなあだ名とか呼び捨てで呼び合ってた。 中学になってからは、他の小学校の子も大勢入って来たので、苗字で呼ぶことが多くなって・・・ 「東堂って・・・下の名前、なんだっけ?ダイちゃんって呼ばれてなかった?」 ふと思い出して言うと、東堂は目を丸くした。 「よく覚えてんなぁ。ダイスケだから。なんかありきたりだから、俺は東堂の方がいいけど」 |
|
| ホーム |
|